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マルコムXと読書と旅と

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マルコムXは若い頃はならず者で、21歳の頃に強盗事件を起こして刑務所に入るんですが、刑務所暮らしの中で、真の知識に触れ開眼。出所後は黒人解放活動家として活躍します。

転換点になった刑務所生活では、もらった辞書のページをAの項からひたすらノートに書き写していくところからはじめて、着実に文字を覚えていったそうです。さらにノートに書いたものを全部、声に出して繰り返し読みあげるなどかなり熱心に取り組んでいたのようで、後年、今でも辞書の最初のページの「アフリカツチブタ」という言葉を思い出すと語ったとのこと。

また収監されていたノーフォーク犯罪者コロニーの図書館にはある富豪から寄贈された何千冊にものぼる蔵書が書架にならんでいて、特に歴史と宗教関係の本が充実したいたそうで、それを寝る間を惜しんで読み続けて知性を磨いていきます。

出所後、黒人解放活動家として頭角を現しインタビューを受ける際には、その豊かな知識に裏打ちされた語り口が非常に洗練されていたため、一流の大学を卒業しているのだろうと勝手に推測され、出身大学はどこかと訊ねられることがあり、その時は「刑務所内の図書館だ」と答えていたそうです。

まあそのモチベーションは知的好奇心ということだけでなく、刑務所のなかでネーション・オブ・イスラム(NOI)の「イライジャ・ムハンマド」の思想に触れて教化されたことが大きかったようです。マルコムXの出所後、彼を擁するNOIは飛躍的に教勢を拡大させます…

NOIの実質的なNo.2になっていたマルコムXが教団と袂をわかつのは38歳の頃。心酔していたリーダー「イライジャ・ムハンマド」の女性問題発覚による関係悪化がその脱会の理由だとも言われています。少なくとも映画「マルコムX」ではそのように描かれていましたが、実際のところはおそらくもっと複雑な話なんでしょうけど。

NOIから離れ、彼はメッカ巡礼を行うのですが、その巡礼のために集まってくるイスラム教徒たちがあらゆる人種から構成され、分け隔てなく同じ儀礼を行ない、そこには人種による差別がない。これこそ統一と同胞愛の精神を体現していると目から鱗が落ちる体験をします。

マルコムXにとって、これが2度目の回心と言えるのかもしれません。ここでまた改名もしているそうです。

巡礼というとおおげさかもしれませんが、人は旅の中で人生を振り返り、日常を遠ざけて心を洗い、偉大なものや憧れていたものとの出会い、新しい発見に縁を結んで感性を蘇らせていくこともできるはず。

このコロナの期間、巣篭もりしていた時期にマルコムXのように読書にのめり込めなかったのには後悔していますが、仕切り直してどこかに旅行でもいけたらなと思ってます。国内でも近場にしたっていくらでも新しい発見も出会いもあるはずですしね。

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