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迷子の警察音楽隊
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「覚えている国民は少ない。たいしたことじゃなかった…」
そんなプロローグが表示され、エジプトの警察音楽隊がイスラエルのアラブ文化センターの開所式に招待され空港に降り立つところから始まります。
なんの手違いか迎えも来ないなか、いかにも威厳を大事にしてそうな楽団長は自力でセンターを目指そうとしますが、目的地と似てる地名の辺鄙な田舎街にたどり着きそこで立ち往生する羽目に。
翌日にならないとバスはやってこないことが分かり、心細い迷子になった警察音楽隊は、その田舎町で退屈そうに食堂を営む女主人の厚意によって一晩泊めてもらえることになります。
音楽隊は3つのグループに分かれて、その女主人や食堂のお客の家で肩身が狭そうに過ごすわけですが、そこに流れるかつて敵国同士だった人たちの「ぎこちない雪解けのとき」。
楽団員の1人が作りかけの交響曲を少しだけ披露しながら、すっかり生活に追われてまだ続きはできてないと打ち明けるシーンがあるんですが、その曲のエンディングについてイスラエル人の男が「派手に盛り上げるんじゃなくて、不意に静まるのはどうだろう。まるで小部屋のように、明かりとベッドだけ。赤ん坊が眠り…」というようなニュアンスの提案をします。
なるほど。「不意に静まる」。そんな嘘みたいな結末があるのなら歓迎したいですが、お互いが主張を曲げないギスギスした議論がふと途切れて、親密さだけが深まるようなことってあるんでしょうか。絵空事かもしれないですが、なにはともあれ、そういう音楽のためには、いい指揮者が必要なのは間違いなさそうです。 コメント *アプリ会員の方のみコメントできます。