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孤独な鳥の条件

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部屋の片づけで出てきた大学時代のノートをパラパラみていたら授業で聞いたのか「渡り鳥が長距離飛行を群れでするのは励まし合って飛ぶためだ」というメモをみつけました。

調べてみると渡り鳥はたしかにV字になって群れで飛ぶことで、単独で飛行するよりかなり飛距離を伸ばすことができるそうです。ただ励ますというよりかは、ケイリンみたいな感じに後ろを飛ぶことで体力の消耗を抑えるためだという説が有力なのですが、まあ励まし合って飛ぶでもいいんじゃないかと思ってます。

逆に群れない鳥ということで、サン・ファン・デ・ラ・クルスという16世紀の詩人によると「孤独な鳥の条件」は以下の5つだそうです。

第一に孤独な鳥は最も高いところを飛ぶ
第二に孤独な鳥は同伴者にわずらわされずその同類にさえわずらわされない
第三に孤独な鳥は嘴を空に向ける
第四に孤独な鳥ははっきりした色をもたない
第五に孤独な鳥は非常にやさしくうたう

この詩は是枝監督の2001年の映画「DISTANCE 」でも引用されていて、自分は女優のりょうが浅野忠信にこの詩のことを話していたように長いこと記憶していたんですが、さっきアマプラでチェックしてみたら実際は違っていました。。

当時レンタルビデオが出てすぐに観たはずなので時間も経ってることもあり、どんな話だったかあんまり覚えてなくて、今回あちこち大雑把に飛ばしながら10分くらい再生させましたが、河原で語られる「孤独な鳥の条件」のところと、是枝作品らしくベランダで夫婦が会話をしているシーンが印象的というか、他の是枝作品でも焼き直して使われているようで、かなりこだわりがあるんだなと改めて。

ただ登場人物の一人が宮沢賢治の引用をするシーンだけは正確に覚えていました。。まさにDISTANCE だなと。そして小雨の降る湖に落ちたりょうの靴を拾った浅野が、焚火を囲んで夜を明かしたサイレントブルーのなかで、りょうと視線を合わせた後、今しかないと熊笹をかき分けて教団施設を離れ下山していくシーンも記憶のまんまでした。

「DISTANCE 」はカルト教団による大量殺人事件の「加害者遺族」である4人の男女が1年に1度再開し、ある事件の現場になった湖を訪れるひと時を物語の中心に据えて、ある一線を超えてしまった人々と、とどまった人々との心の距離、または身近な他者のとの心の距離を描いた作品だとも言えると思います。

いい作品なんでしょうけど、今更じっくり向き合うのはどうなのかと抵抗があり、、きっと昔より理解できるとこもあるんでしょうけどね。けどなんとなく飛ばし飛ばしにしてしまいました。

まあ個人的には若い人たちに観てもらいたいかなと、、今後、「万引き家族」もそうですけど、是枝監督の作品を観ることはあるでしょうから、味わいを深める意味でも無駄になることはないのかなと。

なんにしても、渡り鳥のメモをみつけてから、孤独な鳥の条件のことが気になっています。

ソーシャルディスタンスの時代に、この私たちの孤独について改めて考えてみたいなと感じています。
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